尾張屋

自分が何を持っているかも大事だが、持っているものをどう使うかがもっと大事

突然ですがこの前、歩いていたときに急に自信をなくしたんです。「ああ、俺はダメだ。俺には何もない。」と。

数日間悩んでいたのですが、このように思い直しました。
「そうだ。人は何を持っているかより、持っているものをどう使うかだ。まだあわてるような時間じゃない。」
と。そして私は再び前に向かって歩き出しました。ちなみに「まだあわてるような時間じゃない。」は漫画『スラムダンク』のセリフです。

このことをブログ記事にしようとしていたところ、こちらのニュースが目に飛び込んできました。

プミポン国王死去=在位70年、現役君主最長―親日家、皇室とも親交・タイ / JIJI.COM

タイの国王の崩御は世界中で大きく取り上げられました。

なぜかというと国王が国民から絶大な支持を得ているカリスマだったからです。私の両親もタイ旅行で国王がどれほど愛されているかを感じることができたと土産話をしてくれました。

そんな国王が亡くなったもんだから「これからタイは大きく変わるぞ。」ってことで世界中が注目しているのです。

じゃあ次の国王は誰がなるのかというと当然、今の皇太子がなるわけです。

が、この皇太子が大変な不人気なのだそうで。

…ええっと汗、どなたが皇太子殿下かな?(タイ王家の闇を見た気がする。)

この先タイがどうなるのかは私には考えもつきませんが、このニュースを見て、私はさらに「人は何を持つかより持っているものをどう使うかが大事」であることを感じました。

自分には価値がないと思う問題

人は「自分なんて大したことない」と思うことが多くあります。

特に他人と比べたときに「あの人はこういうものを持っているが私にはそれがない。」と考えると自信がなくなります。たとえば。

・芸能人は知名度があるから何をやっても注目されるが私は知名度がないから何をやってもスルーされる。

・大企業は潤沢な資金力があるからどんな事業をしても競争に勝てるが中小企業は資金力がないからどうせうまくいかない。

・あの人は元々の顔がいいから何をしても許されるが私はブサメンだからうまくいかない。どうせ世の中は「ただしイケメンに限る」で回っている。

・人に信用されるには肩書きや実績のある人じゃないといけないが私には何もないから誰も信じてくれない。

・あの人は神童だが私は平民だから勝てない。

こうした阿鼻叫喚がどこにいても聞こえてくるし私も考えてしまうことがあります。

なぜこうした自信のなさが起こるかというと「もともと何を持っているか」を他人と比較するからです。

しかし、大事なのは何を持っているかよりどう使うかです。

持っているものをどう使う方が大事

心理学には「所有の心理学」と「使用の心理学」というのがあります。

所有の心理学は「原因と結果」をはっきりさせます。「こういう原因が“あるから”こういう結果になる」と考えるんですね。

これは現代では当たり前の考え方で、わかりやすくはあるんだけど、そのせいで上記のような様々な悩みを引き起こします。

一方で「使用の心理学」は過去に何があろうが何を持っていようが関係ありません。それを“どう使うか”が大事です。

たとえば将棋では相手と味方、同じ駒が与えられます。

どちらかが大軍を持っているということはありません。持ち駒が同じでもそれをどう使うかで勝敗がはっきりわかれます。

駒の使い方を知っている人は、たとえどんなに駒が少なくても素人相手に負けません。私も将棋ができない人ですが、うまい人に大きなハンデを付けてもらったのに負けたことがあります。知らないうちに不利になっていくんですよね。どうやってるんだろ。

こういう意見もあるかもしれません。
「いやいや、そういうのはその人に才能があるからだしょ。才能も一つの所有だよ。もともと才能が無い人もいる。」と。

もちろん遺伝的に優秀な人はいます。私の友人は親が東大卒でさくっと早稲田に合格してしまいました。

引用:Wikipedia

しかし彼は「お前はサラブレッドだから」と人にいわれるのが嫌なのだそうです。もちろん親からもらったものには感謝されてると思いますが、だからといって人から「親の七光り」と言われて嬉しいものではありません。

歴史的には織田信長の孫の織田秀信やマリーアントワネットなどが、血は良かったけど評価が低い人物として挙げられることがあります。


↑イケてる自分の演出に余念がなかった織田秀信。関ヶ原の戦いでは祖父の真似をして勇んで出陣するがすぐやられる。

こうした例がある通り、もともと持っているものが多いから良いとは限りません。ダメダメな人はたくさんいます。

タイの皇太子の話はこれ以上しません。大企業に勤めている人はよくご存知だそうですが、大企業だからと優秀な人ばかりではありません。中にはただの世渡り上手なずるがしこい人もいるし、何もしないで給料をもらっている人もいます。

私も就活をしていたとき大企業の面接でいわれました。

会社は大きくなると何もしない人がいるものなのですが、あなたはそういうことに我慢ができますか?

どういう面接だよ!いや、その節はいろいろ話していただきありがとうございました。

だから何を持っているかよりそれよりどう使うかです。

漫才コンビのトレンディエンジェルはハゲネタが鉄板です。髪の毛は男にとって命より大事なものですが(!?)、それが無いことをネタにして成功してしまった二人です。

彼らの頭を見ていると「何を持っているかよりそれを克服する勇気が必要である。」と言われているような気すらします。

人生に必要なのは、勇気と想像力。それと、ほんの少しのお金です。

チャーリー・チャップリン

付箋はもともと失敗作だそうです。本当はしっかりくっつく糊を作りたかったんだけど失敗してくっつかない糊ができてしまった。しかしそれを失敗作といわずに「貼ってはがせる」と言い訳して宣伝文句にしてしまったのが付箋です。

最近は高価服を着るよりも安い服で上手にコーディネートするプチプラがはやっていますね。

料理も、食材選びも大事ですが調理の技術がもっと大事です。残り物で何でも作ってしまう人がいますがあの才能は本当にすごい。

文章を書くことも、文豪と呼ばれる人がいるかと思えばこんなブログを書いている人もいますが、しょせん文章なんて誰が書こうがひらがなとカタカナ・漢字その他の組み合わせでしかありません。どう使うかでしかないんです。


文豪も一般人も同じ“文字”を使っている。

はじめからあまり格好をつけないでなりふりかまわずやることが大事です。成功している人ってかっこいいですが真似をしようとしてスマートにやろうとすると失敗します。格好は最後に付ける要素だからです。


↑いきなりこの雰囲気だけを真似すると失敗する。

小さいところから、小汚いところから将来を見据えてやることです。やっているうちに目が出たら少しずつスマートな方法にピボットすればいいんです。

ビートルズは売れる前、歓楽街にある『インドラ・クラブ』で演奏をしていました。

ここで一日8時間、お客さんの反応が良いときは「もっと良い演奏をしよう」と12時間ぶっ続けで演奏したこともあったそうです。しかも48夜連続。そんな下積みがあったからあの独特のサウンドが生まれたんですね。

インドラ・クラブ (Indora Club) での初演奏 (8月17日) を終えた後、ビートルズはブルーノ・コシュミダー (Bruno Koschmider) のフラットに泊った。

その翌日 (この日) ブルーノは、彼らをパウル・ローセン通り (Paul-Roosen Strasse) 33番地にあるバンビ映画館 (Bambi-Filmkunsttheater) に連れて行った。ビートルズはどうして古い西部劇を上映しているさびれた映画館を見せられるのか、銀幕の後ろの汚い部屋へ案内されるまではわからなかった。コシュミダーは通訳のスタイナー (Herr Steiner) を通して、「ハンブルグ滞在中は、ここがビートルズの家だ。」と言った。

僕らはバンビ映画館のステージ裏に住んだ。トイレの隣でいつも匂ってた。その部屋は古い物置だった所で、コンクリートの壁以外には何もない。暖房は無かった。壁紙も貼ってなければペンキも塗ってない。ただキャンプで使うような小さな二段ベッドが2組あった。でも毛布はたくさん無くて、僕らは凍えてたよ。

ポール・マッカートニー
アンソロジー

またコシュミダーはトイレを指さして、「ここが浴場だ」と彼らに告げた。

ビートルズ詳解

おわりに

もちろん闇雲にやっていてうまくいくほど世の中あまくはありませんが、何を持っているかはいくら悩んだところで変えることはできません。しかし「今あるものを使って何をするか」は私たちが決めることができるのです。