文化庁「国語に関する世論調査」(2013年度)によると、「1ヶ月に大体何冊くらい本を読んでいるか」という問いに対しての回答は以下のようになった。
0冊 47.5%
一、二冊 34.5%
三、四冊 10.9%
五、六冊 3.4%
七冊以上 3.6%
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この回答結果から分かることは、「七冊以上読めば、上位4%以内に入れる。」ということだ。「読書量と年収は比例する」「読書量と学力は関係がある」と言われるものの、ほとんどの人が本を読んでいない。
でも、良質な情報を得ようとしても本を読む時間がない人も多い。そういう時は、スキマ時間の有効活用だ。
人間の集中力は、もともと長い時間持続できないようになっている。一般的には以下のように言われている。
超集中できる時間・・・15分間
普通の集中時間・・・45分間
休憩を挟んでなんとか集中できる時間・・・90分間
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学校の時間割はこの性質を踏まえて作られているし、サッカーの試合時間も90分、睡眠のサイクルも90分ごとにレム睡眠とノンレム睡眠が切り替わっている。
超集中できる時間が15分だということは、スキマ時間を有効活用することで、超集中状態で物事に取り組めるということだ。
だから「なんか微妙に時間が空いちゃってマジ暇なんだけど。」とか「あー!電車行っちゃったよ。次は10分後?本数増やせバカやろう。」と考える瞬間こそがチャンスだ。こういう時はなんとなくスマホをいじりだしたくなるものだが、もったいない。
著者は、こうした細切れの時間を積み重ねながら、月20〜30冊の本を読んでいるという。集中できる時間に読んだ内容は、長く覚えておくことができる。よく学生が単語カードを電車の中で読んでいることがあるが、あれは効果的な方法なのだ。
本の読み方
本の読み方に決まりはない。初めから読む必要もないし、全部読む義務もない。本を手に取ると丁寧に読みたくなるものだし、静かに本を読んでいる自分の姿はたしかにイケてるのかもしれないけど、読書の一番の目的は、本の内容を自分の糧にすることだ。「どんなことを知りたいのか?」という目的をはっきりさせると、読み方も変わってくる。
パラパラ読む
手に取ったらまず目次に目を通して、どんなことが書いてあるのか全体像を把握する。目次だけはわからないことも多いから、パラパラめくっていきながら拾い読みする。つまり試食する。で、「まずっ!」て時は読まないし、自分に足りない栄養素が含まれているようだったらちゃんと読むようにする。
好きなところから読む
実用書は章立てで内容が縦割りになっているから、どこから読んでもだいたい意味がわかるようになっている。だから、自分に必要なところだけ読む、という読み方ができる。カジュアルな実用書を読んでいると、読者をひきつけるために「ポイントが3つあります」とか言うんだけど、実は2つしかなくて最後の1つで尻すぼみになっていることも多い。ビジネス上、ポイントを3つあげざるを得ない書き手の事情も理解しながら、うまく自分に必要なところだけ取っていこう。
本の選び方
まずは入門書から。難解な本を開いている自分の姿にはたしかに誰もが振り向くかもしれないが、ここはぐっと我慢して「マンガでわかる◯◯入門」から入る。広く、深く読むことがコツだ。様々な分野の本を読むうち、「面白い」「もっと知りたい」と思う本が出てくる。そうしたら、その本の関連書籍を読んでみる。
これは例えるなら、温泉の発掘と同じだ。温泉の掘り方には「試し掘り」と「本掘り」がある。はじめに温泉が出そうな場所を手当たり次第に「試し掘り」して、温泉が出てきたらその場所を集中的に「本掘り」する。本もこのように読むのが効率が良く、知識も定着しやすい。
「本掘り」を決めた本の関連書籍を探すには、Amazonを使うことがオススメだ。Amazonで本を検索すると、「この本も読まれています。」と関連書籍が表示されるからだ。Amazonは独自のアルゴリズムを使ってこれを表示していて、その精度がとても高い。自分でやみくもに探していたら見つけることが難しい本も、こうして芋づる式に掘り出すことができる。
読書のポートフォリオをバランス良く
お金の投資には短期投資と長期投資という2種類がある。短期投資は目先の利益を狙い、長期投資は長い目で見た資産形成を狙う。投資のうまい人は、一つの投資先がうまくいかなくても他の投資先の利益でカバーできるよう、複数の投資先にお金を分散している。これを「ポートフォリオを組む」と呼ぶ。
同じように、読書も「自己投資」という名の投資だ。本で得られる知識にも、すぐに効果を実感できるものもあれば、すぐには使えないが長い目で見た時に役立つ知恵もある。様々な知識をバランス良く取り入れて、自分だけのポートフォリオを組んでいこう。
短期投資・・・ネットの情報、週刊誌
中期投資・・・実用書
長期投資・・・思想哲学書
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インプットしたらアウトプット
知識を身につける一番の方法は、アウトプットをすることだ。学校の授業は聞いているだとほとんど記憶に残らない。しかし、ノートにとると覚えやすい。さらに、人に教えるともっと良く覚えている。それは、脳には「何度も利用される知識は残しておく。」という性質があるからだ。
本も、せっかく読んだものを忘れてしまったらもったいない。レビューを書いたり、人に教えたりしながら、自分の知識を深めていこう。
おわりに
「文章力をつけるには本を読め、という。インプットの量とアウトプットの量は比例し、圧倒的なインプットがあってこそ圧倒的なアウトプットが可能になる。」と本書では言っていた。僕も本を読むようになったら長い文章を書くことが苦ではなくなったし、話す内容もいくらかマシになった。
読書はすぐには効果を感じられないことも多いし、眠くなるし、本を読むより遊んでいたほうが楽しいけど、社会で自信を持ってやっていくためには、本を読んでるほうが箔がつくというか、うまく立ち回れる実感があるなあ。