なぜGoogleはタダで使えるのに一国規模の利益を生み出しているのか

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タダのものが多くなりました。SoftBankユーザーは無料で牛丼が食べられるとか、マックでタダでコーヒーが飲めるといったキャンペーンが次から次へと打ち出されています。

これは当然販売戦略なわけで、特典に惹かれた人がSoftBankに乗り換えるとか、コーヒーのついでに他のものを注文することを狙っているものです。

一方、同じタダでも身を削るような思いをしてサービスを提供している方います。

例えば演劇やバレエの世界では出演者が営業マンを兼ねていることが一般的です。一人一人に観客を連れてくるノルマが課されることもあるといい、声をかける人がいなくて友人に来てもらうことも多いです。友人ですからお金は取れません。タダで観に来てもらいます。しかしタダにすることは自分の稼ぎがなくなるということですから、自分が苦しくなります。そうやってなんとか自分の好きなことを続けている人も大勢います。タダのサービスが当たり前の世の中にあって、そのしわ寄せを受けていると言えるでしょう。

テレビを始め、多くのメディアやIT系企業はタダでサービスを提供しているにもかかわらず莫大な利益を生み出しています。メールもタダ、検索もタダ、動画も通話もゲームもただでできます。私たちは一円も払ってないのに、その会社は世界有数の会社だったりするわけです。一体どういう仕組みになっているのでしょうか。

無料なのに利益が生み出せる秘密を、無料で手に入れた本で学びました。Kindleアンリミテッドでタダでした。今は終わってしまっているようです。

タダでもらったら後で倍返しさせられるんじゃないの?という誤解

昔から「タダより高いものはない」と言われていました。その意味は「タダでもらうと後で頼まれごとをされて余計面倒なことになる」ということです。

美味しい話なんてあるわけがありません。資料請求しただけなのにしつこく売り込みの電話がかかってくるとか、0円で契約したら勝手にオプションをつけられて解約時にものすごい額を請求されるという問題は今でもあります。

こういった問題が昔からあるので、ある年齢以上の人は「タダ」というと身構えます。私もその世代です。

しかし、若い人にはそういった警戒心がないといいます。なぜかというと本当にタダのサービスが多くなってきたからです。

たとえば、私たちがどんなにGoogleで検索をかけても、YouTubeで動画を見ても、Googleから請求が来ることはありません。後で高額な商品が販売されるわけではありません。若い人たちはそれが当たり前の世界にいるため「タダ」を素直に受け入れます。

今日のフリ ーはさまざまな見た目の矛盾に満ちている 。ものをタダであげることで金儲けができるのだ 。それは本当にタダだし 、金を払って得られるものよりも価値が高いことすらある。

なぜタダなのに利益が上がるのか。

タダでサービスを提供しているのに莫大な利益を得る。彼らがなぜ利益を生み出せるのかというと、無料のコンテンツのまわりでお金を稼いでいるからです。

メディアは無料コンテンツのまわりでお金を稼ぐ方法を 、顧客情報を売ることから 、媒体名の使用許可 、 「付加価値をつけた 」版の販売 、直接の eコマ ースまで数十も考えだした。

例を挙げると、スマホアプリは無料でダウンロードできるものが多いですが、使えるのは一部の機能だけで全ての機能を使うには課金が必要になるものが多いです。私は無理にでも無料を貫き通す派ですが。ゲームアプリではアイテム課金が一般的ですね。最初は「無料でやるぞ」と思ってるんですがハマってくると「このアイテムがないとヤツに勝てない…」課金、ポチッ。とやりたくなります。

また、YouTubeで無料の動画を見て有料のライブに興味を持つ場合もあります。私はもっか『フレデリック』のライブに行ってみたいです。

無料から利益を生み出す方法は、以下の3種類に分けられます。

*有料商品で無料商品をカバ ーする

サンプルを配れるのはそのコストが商品の代金に含まれているからです。ショッピングモールの駐車場が無料なのも店舗を経営する売上金からまかなわれています。
無料でテレビを見られる理由も、スポンサー企業の商品の売り上げ金でまかなわれているからです。

*将来の支払いが現在の無料をカバ ーする

「初月無料」のパターン。

*有料利用者が無料利用者をカバ ーする

廃課金者がゲームアプリの存続を支えているパターン。

タダが蔓延しているワケ

お金を払うという行為は心理的な抵抗を生みます。しかしタダなら「損はしない」という安心感が働き、試してみる人がぐんと増えます。

そのため、タダであることは競争優位性になります。市場でシェアを奪い既存のサービスを追いやろうとする時、「タダ」は有効な戦略の一つです。自由競争の原理が働いている限り、既存のものが安くなるという流れは変わりません。

今日 、市場に参入するもっとも破壊的な方法は 、既存のビジネスモデルの経済的意味を消滅させることだ 。つまり 、既存ビジネスが収益源としている商品をタダにするのだ 。すると 、その市場の顧客はいっせいにその新規参入者のところへ押しかけるので 、そこで別のモノを売りつければいい 。携帯電話による無料の遠距離通話サ ービスを考えてみてほしい 。それは固定回線の遠距離電話ビジネスを衰退させた 。

しかし、タダでサービスを提供しているだけではシェアは奪えても利益は生まれません。

ここで意識したいのが“無料のまわりに価値のあるものが生まれる”という原則です。

潤沢にあるモノのコストが底値にまで下がるとき 、その商品に隣接した別のモノの価値を押しあげることがある 。マネジメントの専門家であるクレイトン ・クリステンセンはこれを 「魅力的利益保存の法則 」と呼んだ 。

抽象的なたとえですが、水は常に下に流れていきます。流れていって下にたまる水が多いほど、蒸発して上に上がる水分も多くなります。

“本当の意味でのタダ”は存在しません。目には見えませんが“利益保存の法則”は働いていて、たとえ何かをタダでもらっているとしても、私たちは何かしらの労働力を払っているんです。

グ ーグルで検索をするたびにユ ーザ ーは 、タ ーゲット広告のためのアルゴリズムにグ ーグルが磨きをかけるのを助けている 。それぞれの場合で 、サ ービスを利用する行為は 、なんらかの価値を生みだしている 。それはサ ービス自体を向上させることだったり 、どこかで役に立つ情報をつくることだったりする 。知る 、知らないにかかわらず 、私たちは何か無料のものを手に入れる代償として労働力を提供しているのだ。

膨大なデータを集めているGoogleやFacebookなどは、ユーザーの動向を分析して適切な広告を表示させて利益を得ているんですね。

すべてのものは時間が経つにつれて安くなります。技術が進歩するからです。パソコンは昔は個人が買えるようなものではありませんでした。今私たちが使っているパソコンは、昔ロケットを発射する時に使っていたコンピュータより優秀です。

既存のものが安くなる流れはこれからも変わりません。今も物価上昇率が上がらなくて問題になっていますが、それは時代の流れです。産業革命が起こった時に工場の24時間稼働が可能になってモノが安く手に入るようになったように、今の技術革新でも同じ現象が起きています。

何でもかんでも安くなっているように見えますが、そのまわりで希少で価値のあるものが生まれていることも事実です。なぜなら“利益保存の法則”がはたらいているからです。だから何の価値が上がっているのかを見つけなければなりません。

水が常に低いところへ流れるように 、経済も潤沢なほうへと流れた 。あらゆる製品はコモディティ化 〔競合商品のあいだで機能 、品質 、ブランド力などの差異が失われ 、低価格化 ・普及品化すること 〕されて安くなっていき 、企業は儲けを求めて新しい稀少性を探した 。

潤沢さにもとづく思考は 、何が安くなるのかを見つけるだけでなく 、価値がどの方向へ移ろうとしていて 、その結果 、なんの価値が上がるのかを探ることで 、それを利用しようとすることでもある 。

あらゆるものが安くなる流れの中で、私たちは「どこに利益が生まれているのか」を見つけ、「どう振る舞うか」が重要です。

たとえば株式売買などの人間の仕事をコンピュ ータに教えれば 、その仕事のコストはほとんどゼロになり 、仕事のなくなった人間はもっとむずかしい仕事にチャレンジするか 、そのままでいるかにわかれる 。前者は前よりも高い給料をもらえるようになるが 、後者の給料は下がる 。前者はある産業が潤沢なモノに満たされるときのチャンスとなり 、後者はお荷物となる 。

おわりに

自分のサービスを安売りするのは良くありません。演劇でもバレエでも価値を提供しているのだからお金を取るべきです。しかしそのための布石をまずは“無料で配る”という手法を使う必要があります。

タダで集まる人は意識が低いと言われます。大切に思ってくれません。

だから、ウェブで無料でコンテンツを提供していれば多くの人が集まり、その中の意識の高い人がお金を払って会場に足を運んでくれます。

もっとクオリティの高いサービスが無償提供されてしまっている現状があるのはもったいないのだから、マーケティングをきちんとやるべきだと思います。無料からサービスを展開するならブログはオススメです。

ブログは無料で 、通常は広告もないが 、私たちがブログを訪問するたびに何かしらの価値が交換されている 。コンテンツを無料とする代わりに 、私たちがそのブログを訪問したり 、そこにリンクを張れば 、そのブロガ ーの評判が上がる 。ブロガ ーはその評判を利用してよい仕事を得たり 、ネットワ ークを広げたり 、多くの顧客を見つけたりできる 。

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