次から次へと面白い企画を思いつく秋元康の考え方

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秋元康は「売れる企画」を考えることがうまい人です。

今の印象としては“アイドルグループのプロデューサー”という面が強いですが、それは秋元康さんが秋葉原が好きだとか乃木坂や欅坂といったの“坂フェチ”だからなのではなく、かつては演歌をプロデュースしていたこともありました。

その哲学は「人は素人っぽいものを好きになった後には玄人っぽいものを好きになる」というところにあり、つまり時代に合わせて人の興味が変わるから、それに合わせてウケるものを送り出しているだけだということです。

だから、今はアイドルが熱い時代で毎日ライブをやっても人が集まりますが、この先アイドル熱が冷めてくるようなことがあれば、また演歌を作ったりもするということですね。

まるで季節によって作るものを変えている農家のような考え方です。

しかし時代は変わっていっても、面白いものを作る核は変わらないといいます。本で紹介されていたので少しご紹介します。

面白い企画を作る秘訣は、2つあります。

1.たくさんの情報をインプットする
2.インプットしたものの中で真逆のものを組み合わせる

たくさんの情報をインプットする

まずは企画となる材料をたくさん仕入れることです。

企画というと面白いアイデアが必要です。だからそのためには人とは違う面白い体験をしなければならないと考えがちですが、そうとも限りません。

むしろ平凡な毎日の中にどれだけ新鮮な発見ができるかが大事なのだといいます。逆に珍しい体験をしていてもありきたりな感性しか持てなければ面白いアイデアは生まれません。

アイデアというのは、まだ情報化されていないものを情報化することです。人が当たり前のように通り過ぎることの中に宝は埋もれているといいます。

私はこのくだりを読んで“万有引力の法則”を思い出しました。

大昔から、誰でも地球に足をつけて生きてきたにも関わらず、引力というものが存在することを誰も言語化できずにいました。何度も物を落っことすようなおっちょこちょいな人もいたはずですが、誰もそこから“引力”を発見することができませんでした。

目の前にあるのに価値に気づかない、ということを私たちは普通に経験しています。または「なんとなくは感じているけれどもよくわからない」ということもあります。

あるライターの人は「書くネタが尽きることはない。インタビューをすれば、彼らが言語化できていない情報を引き出すことができて、それが他の人にはとても貴重な情報源になるから。」と話していました。

私たちが当たり前のように思っていて言語化していないもの、それを言語化することが情報だといいます。

すでに情報化されたものは誰かがすでに発見したものです。それは一般化しているものなので「新しいもの」とはいえません。

インプットしたものの中で真逆のものを組み合わせる

新しいアイデアは組み合わせによって生まれます。

たくさんインプットしたものの中から、モノになりそうなものを組み合わせることで新しいものは生まれます。

これはまるで料理のようで、たくさんの食材を集めたら、それを組み合わせることで料理を作るということです。

そしてそのコツは「真逆のものを組み合わせる」ということです。

一言で言うと“奇をてらう”ということです。

一番合わないものが何かを考えることが企画の第一歩だと秋元康さんはいいます。

企画は人に楽しみを与えるものです。人が「こうきたら次はこうくるな」と読まれているのでは飽きられてしまって企画にはなりません。

だから奇をてらう必要があります。

漫画のストーリーも、必ず読者の予想を裏切る出来事が起こります。

人は、今までの経験から次にどんなことが起こるかを予想します。その予想通りにコトが運んでしまうと、それは今までと同じやりかただということですから、新しい企画にはなれません。

新しいこと、人の気持ちを引きつけるためには奇をてらって、あるものと真逆のものを組み合わせることが必要です。

最近のカップ麺が奇をてらっていることをご存知でしょうか。

ラーメンといえば、醤油、塩、味噌、豚骨が王道です。焼きそばといえばソースか塩です。

しかし最近のカップ麺は、「チョコ」「ショートケーキ」「カルボナーラ」「抹茶シーフード」です。

「またバカなことをやっている」大人たちはそう思うでしょう。私もそう思っていました。

しかし、これは企画の王道に沿った正しいやり方で生まれた商品です。

「チョコと焼きそば」「抹茶とシーフードとラーメン」このような今までと違った組み合わせが企画にはなるのだといいます。

もちろん、ただ奇をてらっただけではいけません。すぐに飽きられて忘れられてしまいます。奇をてらうことが核になるのではなくて、あくまでも核は王道にすえるということです。料理における王道とは「おいしい」ということです。

どんなアイデアを出すのだとしても、必ず満足を核に据えなければなりません。

秋元康さんの企画では、「秋葉原」と「アイドル」を組み合わせたことが新しいアイデアでした。

それまでアイドルというと「雲の上の人」という偶像的な面がありましたが、それを秋元さんは「会いに行けるアイドル」として売りだしました。それが功を奏しました。

人が予想する「予定調和」を崩す、それが必要だといいます。

おわりに

投資の世界には「人の行く、裏に道あり花の山」という格言があります。

人が行く山道からもっと行って誰も踏み入れないところに素敵な景色があるんだよ、という言葉です。

秋元さんはそれを見つけちゃった人なんでしょうねえ。

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