世界の格差が広がっていることを表す「象チャート」を象っぽいキャラクターが解説する。

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ある日、楪亜人(ちゃあと)君の家に一通の手紙が届きました。

楪亜人
!?
楪亜人
この手紙、送り主の名前が書いてないな。開けてみよう。
楪亜人
・・・
楪亜人
なんだこれ?

楪亜人
折れ線グラフだ。とりあえず落書きしとこ。

楪亜人
これでよし。

楪亜人
ん、なんだ?

こんにちは。
楪亜人
うわ!なんだ!?
なんだチミはってか?そうです、私が変なおじさんです!
楪亜人
え…いきなりモノマネとかされても笑えないよ。
覇音
私の名前は覇音(パオン)です。
楪亜人
へ、へえ。いい名前だね。音楽会のドンみたい。
覇音
うん。本当は音楽家になりたかったけど、プロデューサーに「もうけっこう」って言われてしょんぼりしょんぼり。
楪亜人
……絵本の『ぐるんぱの幼稚園』にかけてる気がするけど、そんなネタ読者にわかるのかな。
覇音
それで今はデータサイエンティストをやってるよ。
楪亜人
へ、へえ。しかしなんでまた僕の前に現れたっていうの?
覇音
それはね・・・
楪亜人
あ…!君はもしかして象型ロボットなの?のび太に猫型ロボットが来て助けたように、僕を助けてくれるのかい?
覇音
ちがうよ。
楪亜人
…ちっ
覇音
ぼくはこの折れ線グラフについて君に教えるために来たんだ。
楪亜人
そ、そっか。でもなんで僕はこの折れ線グラフのことを知らないといけないの?
覇音
君はこの前”格差”について考えていたね。
楪亜人
ああ、それ?ニュースでよく「格差が広がっている」っていうんだけど、実際どんな感じなんだろうなあと思って。収入の違いによって健康にも格差が出ていたり、寿命にも影響があるというし。確かに僕の給料はあまり上がってないけど。
覇音
そうだね、そのもやもやを今日は解きたいと思って来たんだ。この折れ線グラフは、格差の広がりを現したものなんだ。『象チャート』と呼ばれているよ。

楪亜人
ふーん。どうやって見るの?
覇音
横軸は貧富の差だよ。世界を100人の村だとした場合に、0に近いほど貧しい人で、100に近くなるほどお金持ちってことだよ。
楪亜人
なるほど。

楪亜人
あ、図がちょっと変わった。そっか…世界にはきれいな水が飲めないほど貧しい人もいれば、使い切れないほどお金を稼いでいる人もいるんだな…ていうか一番右の金持ちの写真、ゲスいね。
覇音
ゲスい写真になってるのは、君がそういう心をもっているからだよ。「お金持ちはズルい」っていう認識をもっているからそう見えるんだ。君の心が変われば写真も変わるよ。
楪亜人
……。
よくわかんないけどすいません。それで縦軸はなんなの?
覇音
縦軸は所得の伸びだよ。1988年から2008年までの間にどれだけ収入が増えたかを示しているよ。
楪亜人
100に近いところがぐいって上がってるね。これはつまり、お金持ちはさらにお金持ちになってるってことだよね。あとはまんなかが大きく盛り上がってる。
覇音
そうだね。この図のAにあたる部分には中国やインドの人が多いよ。Cは富裕層で年収3000万円以上の人。多くの日本人はBゾーンに入っているよ。
楪亜人
日本人の増加率ひくっ!どうりで僕の給料もあがらないわけだ。
覇音
図の赤線は平均値だよ。
楪亜人
えー!世界平均よりずっと低いじゃん。ていうかマイナスのところもあるよ。なんか日本って、トップの連中には引き離されてるし後ろからは追い上げられてるし…板ばさみ感がすごい。
覇音
うん、日本人が抱えている漠然とした不安感は、こうしたところから来ているのかもしれないね。
楪亜人
はあ・・・認めたくないなあ。っていうか、このチャートは本物?覇音がつくったんじゃないの?
覇音
このチャートはブランコ・ミラノヴィックという経済学者がつくったものだよ。とっても偉い人さ。


The greatest reshuffle of individual incomes since the Industrial Revolution

楪亜人
うお。このおじさん、わけしり顔だなあ。
覇音
さて、ぼくは役割を終えたから帰るよ。
楪亜人
え、もう帰るの?
覇音
次の人に教えに行かなくちゃいけないから。ぼくは消えるけど、君の眼の前で格差はこれからも広がっていくからね。どうしたら良いかしっかり考えるんだよ。じゃあね、楪亜人。

おわりに

マーケット関係のブログを読んで象チャートのことを知り「これを記事にしよう」と思ったのですが、いざ書いてみたらあっというまに終わってしまって中身スカスカになってしまったので、物語を付け加えてみました

参考

「象チャート」にみる世界的な所得のシフト – Market Hack –

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