シャドウバースに見る日本のコンテンツ消費の傾向

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『シャドウバース』という人気カードゲームがあります。

この前、これの広告を見たときにふと思ったんです。

「これ『Hearthstone(ハースストーン)』と同じじゃん。」

Hearthstoneも人気カードゲームです。ゲームシステムがほぼ同じ。

違いは『シャドウバース』が日本製で、『Hearthstone』が海外製だということ。

このことに日本の消費傾向が見えたので今回記事にしています。

私が初めてHearthstoneのことを知ったのは、祖父の葬儀で久しぶりに従兄弟と会ったのがきっかけでした。

従兄弟
お久しぶりです!
久しぶり!さらにでっかくなったな。
従兄弟
はい、おかげさまで。

他愛のない話をしていると、自然と昔話が出てきます。

私は今はあまりゲームをしなくなってしまいましたが、子供のころは彼も私もゲーム好きで「親戚が集まったらゲームをやる」というのが当たり前、もはや年中行事になっていました。

今でもゲームやってんの?
従兄弟
やってますよー。会社でもやってますもん。人とメシ食ってても「ちょっと一戦だけいい?」って言ってやっちゃいますね。
あそうか、今はもうスマホゲームだもんな。どんなゲームやってんの?
従兄弟
海外製のゲームが多いですね。Hearthstoneとか。日本のは幼稚であまりやる気がしないです。
へえ。
従兄弟
でもあれなんですよ、みんなあんまり海外製のゲームってやらないんですよね。友だちを誘っても「いや、海外製のはちょっと…」って断られちゃって。一緒にやりませんか?

その場では断ってしまいましたが、家に帰ってからこっそりダウンロードしました。「これを通して今後も従兄弟とやりとりできたらいいかも。」と思って。

「俺のゲーム魂が解き放たれる時が来たか」と思ってはじめてみたのですが、途中で何をやったらいいかわからなくなって辞めてしまいました。攻略サイトも見たのですが「やばいこれ相当やり込めるやつや。」ということがわかって、ハマるといかんと思ったのでアンインストール。従兄弟ごめん。

ゲームは完全に日本語対応で、文字もセリフも完璧に日本語です。ただ世界観は海外のままで、まるで「ロードオブザリング」のようにいろんな種族、いろんな生き物が戦うゲームです。


引用:hearthstone jp wiki

この独特の雰囲気と難易度高めの設定が、一定数の日本人を「海外製のはちょっと…」という海外ゲームの鎖国状態に陥らせていると考えられます。

そのため日本では『シャドウバース』といった「似たようなゲームだけど雰囲気はちゃんと萌え絵を使った日本製」のゲームが人気を博すことになりました。声もアニメの声優さんが当ててます。


引用:シャドウバース

楽しむためにブログ記事にしようと、ためしにダウンロードしてみました。登場人物は「エルフの女の子」に「司祭の女性」「バンパイア」「騎士団長」そして「メイド」。確かに日本向けです。

ゲームが始まるとすぐにストーリーが始まります。仲良し姉妹が森でおしゃべりしていると謎の悪い奴が!とここでチュートリアルを兼ねた簡単なカードバトルが始まります。ソロプレイをしながら物語を楽しめるようになっています。

一方Hearthstoneではストーリーなんかほとんどなくて、チュートリアルが終わるとひたすら海外プレイヤーと対戦して腕を競うことになります。

ここも海外製と日本製の大きな違いですね。対戦だらけの海外ゲームに辟易してしまう人も多いのだと思います。

海外製のはシステムや派手なアクションで楽しませるものが多く、物語はおまけのような存在であることが多いです。ゲームは人と競争するためのもの。

日本のゲームはストーリー重視で、ゲームの世界に入ることを狙いとしている作品が多いです。この傾向は映画にも当てはまるかもしれません。

こうした「ちょっとしたズレ」がHearthstoneよりシャドウバース人気に火を付けたのだと思います。シャドバのストーリーモード面白いですよ。しかし朝やってたらハマってしまい「今日会社休もうかな」とか考え出したので惜しくもアンインストール。従兄弟ごめん。あ、従兄弟はシャドバはやってなかった。

日本で成功するコツ

日本でものを売るとき、海外のものにちょっと手を加えて売る、という方法があります。

日本はどうしても国内だけに留まろうとする傾向があるといわれていて、言葉も違うため、そこには情報格差が広がっています。

「日本はアメリカから10年遅れている」といった言葉は、いろんな分野で言われることです。

ですから、日本人がそのままでは受け入れづらい海外のものを日本流にアレンジして販売することで国内の需要を喚起することができます。

昔から日本人は海外のものを持ってくるとき、少し日本風に変えて輸入するということをやってきました。

たとえばラーメン。これはもともと中国のものですが、本場中国のラーメンは日本のものとはかなり違っていて、どっちかというと「にゅうめん(そうめんをあったかいつゆに入れたもの)」だそうです。

そしてカレー。本場インドではサラサラしていましたが、なぜか日本に入ってきたときにコッテリになってしまいました。しかも日本人は本場のカレーを「インドカレー」と呼んでまるで「日本のカレーが本物」みたいな扱いをする(笑)

日本語は中国の漢字をアレンジして使っています。ひらがなの「あ」は漢字の「安」から作ったものです。「安」という漢字は女性が廟の中でお祈りしている姿を文字にした象形文字です。うかんむりが廟で、その下に女がいるという図ですね。それを日本人は「あ」にしてしまったから、もはやどこが廟だか女だかわからない形になっています。

こんな風に、海外のものを日本風にアレンジする。そうすると日本で安心して受け入れられるようになります。

日本はイノベーションは苦手ですがアレンジは得意です。新しいアイデアを得たいときに、海外に目を向けるのも面白いと思います。

おわりに

これから従兄弟とは何で繋がったら良いものだろうか。

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