自分のやりたいことがわからないときは、まず人生のクローゼットを整理しよう

誰もが何かを売り込んでいる時代、「自分で選ぶ」力が必要になっています。

成果を出すためには、99%の無駄を捨て1%に集中する必要があります。

つまり、本当に大事なものとそうでないものとを見極め、必要ないものは捨てるということです。

部屋のクローゼットを整理するように、人生のクローゼットも整理する必要があります。

本当にやりたいことを見つける

現代は「欲張りの時代」。欲しいものはなんでも揃っているし、退屈な時にはスマホを開けばいつでも自分の欲しい情報にアクセスすることができます。選択肢が多い時代ともいえるし、その選択肢のそれぞれが「うちが一番!」「大人気!」「今だけ!」と叫んでいる「他人の意見がうるさい」時代でもあります。

みんなが叫んでいることを聞いていると、心がザワザワとしてきて「どれも大事だ」と思うし、「全部やらなきゃもったいない」「頑張れば全部できそうだ」などと焦ったりします。

そうして全部に取り組んでみるものの、どれも中途半端にしかできなくて、後で「なんか振り回されてばかりで、なんにも残りませんでした(*≧艸≦)」と総括することになります。

将来的に実をのこすためには、本当にやりたいことを見極めて、そこに集中する必要があります。惰性で流されるのではなく、「自分で選ぶ力」を身につけるのだ。

いろんなことをいっぺんにやっても結果が出ないのは、力が分散しているからです。右にも左にも進もうとしたら、結局どちらにも進みません。進む方向を一つに絞れば、同じ力でたくさん進むことができます。

力の分散と集中

人生のクローゼットを片付ける

自分のやりたいことを見つけ、さらにそれを諦めないためには、まずはあらゆる選択肢を評価する必要があります。

次に不要なものを捨てなければなりません。そして、その状態をキープしつづけなければなりません。

  • 評価する
  • 捨てる
  • キープする
  • これはクローゼットの片付けと同じで、つまり中にあるものを広げて「いるか」「いらないか」を評価し、いらないものを捨て、綺麗な状態を保っておくということです。

    1.評価する

    クローゼットに詰まっているたくさんの服を評価する基準は、「大好きか?」です。『人生がときめく片付けの魔法』の著者、近藤麻理恵さんは、クローゼットの棚卸をする際には「ときめくか?が重要」だと言いました。

    部屋のクローゼットも、人生のクローゼットも、片付けのポイントは同じだということです。「いつか着るだろう。いつか使うだろう。」というものをとっておいてはいけません。

    そしてもう2つ、基準を設けます。「向いているか」と「人の役に立つか」です。

    選択の基準

  • 「大好きか」
  • 「向いているか」
  • 「人の役に立つか」
  • たとえば私の場合、「文章を書く」ということを優先してやりたいことだと考えています。なぜなら「書くことが好き」だし、「文章を書くことに向いている」し、「ある程度人の役に立っている、かもしれない」からです。

    こんなふうに、自分が何を選択するべきかを評価していきます。評価するには、考える時間が必要です。なんの情報にも触れない、自分一人で静かに考える時間を日常的に持つと良いです。できれば朝一番に。

    朝は、頭にまだ余計なものが入っていないからです。そうしてみてわかる、実はほとんどのものは「ノイズ」であって価値がない、生産的ではないと。

    評価するときに気をつけなければならないことがある。心理学で「サンクコストバイアス」というものと、「授かり効果」と呼ばれるものです。

    「サンクコストバイアス」は、すでにお金や時間を投資してるから、という理由でなかなか手放せない心理状態のことをいいます。

    代表的なのは、投資の「塩漬け」です。一度お金を投資してしまうと、たとえそれが損失を生んだとしてもなかなか手放すことができず、ズルズルと持ち続ける。この状態を「塩漬け」といって、投資をやったことのある人なら誰もがこの心理に悩まされます。

    「授かり効果」もこれと似ていて、すでに持っているものの評価を高めに設定してしまう心理が、人間にはあります。

    こうした心理を乗り越えて、上手に手放すためには、自問してみることです。「これを持っていないとしたら、私は喜んで買うだろうか?」

    2.捨てる

    評価ができたら、次は捨てることです。クローゼットの中身なら容赦なくゴミ箱に入れれば良いですが、人からの頼みごとや、気のすすまない付き合いなどは断るのは難しいですね。

    「ノー」を言うことが難しい理由は2つあります。

    1.本質的なものが見つかっていないから。

    自分が何を大切にするのか明確にしない限り、いろんな選択肢の葛藤に悩まされる、ということがこれからの時代いつまでも付いて回ります。

    本質的なものの探し方は、「1.評価する」のところに書いたとおりです。

    2.他人にどう思われるか心配

    本書では「ノー」も伝え方次第で、むしろ相手との関係性が良好になるといいます。テクニックがいくつか掲載されていたのでご紹介すると、

    1.判断を関係性から切り離す

    断りはするけどあなたが嫌いなわけではない、ということを示します。

    2.直接的に言わない

    「ノー」ではなく「別の用事がある」などと間接的に言うようにします。

    3.自分が何を失うのかを明言する

    何かを手に入れるということは何かを失うということでもあります。こうした考えを「トレードオフ」といいます。

    選択するときはトレードオフを常に意識することが大事です。人生はいつも、「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」です。

    何かを切ることはつらいけど、そうすることでもっと良いものを手に入れることができます。何かを頼まれたとき、「それをやるとこれができなくなります」と言うことで断ることができます。

    4.自分を安売りしない

    キッパリと言うことで相手の敬意を得られることもある。

    5.すぐに返事をしない。

    イエスを言うのをもっと遅く、ノーを言うのをもっと早くしようという話だ。日を改めると冷静な判断がしやすいです。

    6.代替案を出す

    「今日は無理ですが、来週なら」という代案を出す方法です。

    7.冗談めかして断る

    仲のいい相手なら、笑いながら「わりいwww」で済むこともあります。

    「ノー」を言う機会はとても多いです。現代ではみんなが常に、何かを売り込んでいます。本書では、「エッセンシャル思考を実践することはノーを言い続ける生活をすることだ」とも言っています。

    おわりに

    「どれも大事だ」「やらなきゃ」という考えを捨てて、「より少なく、より良く」がこの本の要旨です。

    これは日本人的な考えではないかなあと私は思いました。

    イメージとしては「茶道」。不要なものを一切排除して、でも、こだわりがある。てことを考えると、自分の国のことをちゃんと知っていれば、アメリカ人が書いたこの本を読まなくても良かったんじゃないのか?と今さらながら思ってしまいます。日本はアメリカナイズされすぎてるのかもしれないですね。

    『伝え方が9割』まとめ。相手に「OK」をもらう誘い方。

    「話がうまい人には特別な才能があるのだ。私が口下手なのは才能がないからだ。」と思うのは間違いです。実際は、伝え方にはシンプルな技術があって、誰にでも習得できます。

    話のうまさは一部の人しかもっていないセンスではなく、誰でも学ぶことで上達するスキルだ。自分の意見をそのまま伝えると相手に「ノー」としか言われないことも、伝え方次第で「イエス」に変えることができる。

    というのが、ベストセラーのこの本です。

    まとめました。

    3つの原則

    自分の言いたいことを相手に上手に伝えるためには、次の3つの段階を踏まえることが大原則です。

    1.思っていることをそのまま口にしない

    たとえば子どもに言うことを聞いて欲しい時、そのまま「言うことを聞きなさい!」と言ってしまっては、当然相手の反応は「ノー」になってしまいます。

    2.相手の頭の中を想像する

    相手は何が好きか?何が嫌いか?どんな性格か?などを把握します。

    3.自分の伝えたいことと、相手のメリットが一致するお願いを作る

    たとえば子どもを病院に連れていかなければならないとき、「さあ!お医者さんでマズイ薬をもらって、さっさと治そうよ!」なんて直接的に言ったら当然嫌がられるわけで、そうではなくて、相手の好きなものを考えます。

    もし子どもが遊ぶ元気もなくなっていたとしたら、「お医者さんでお風邪を治してみんなとまた遊ぼうね。」と言えば病院に連れて行きやすい、というわけです。

    実際、私は子どものころ、近所の病院にトランポリンがあって、それで遊ぶことが病院に行く楽しみの一つでもありました。具合が悪いのに無理して跳ねていた記憶があります。

    なぜならトランポリンはその病院にしかなく、そのときに跳ねておかないと次に病気になるまで跳ねることができないからです。人間というのは、楽しみのためならどんなリスクも厭わない生き物なのだ!

    さて、お願いはいつも、自分と相手の合作でなければならないといいます。自分のお願いと相手のメリットが一致するとき、はじめて「イエス!」と言ってもらうことができます。答えは相手の中にあります。

    7つの切り口

    こうした言い回しは、たまたま思いつくものではありません。意図して作ることができるものです。本書では7つのテクニックを紹介しています。

    1.相手の好きなことで誘う

    先ほどの「お風邪を治して遊ぼう。」が一つの例です。

    2.嫌なものを回避したい気持ちを使う

    それをしないと損をしますよ、という気持ちを起こさせます。「早く風邪を治さないと、大好きなハンバーグが食べられなくなっちゃうよ」といった使い方です。

    3.選択の自由を与える

    好きなものを2つ並べて選ばせる方法です。

    人は「決断」は苦手ですが「比較」は好きです。

    つまり「病院に行くよ!」と相手の決断を迫るより、「クマさんのぬいぐるみがある病院か、ネコさんの本がある病院、どっちにしようか?」と比較をしてもらう方が相手の了承を得やすいと言うのです。

    4.認められたい欲求に訴える

    人は認められると嬉しいです。

    「頑張ってちゃんと病院に行ったら偉いなー」と言って、寝てる子を起こす方法。

    5.あなた限定

    相手が寂しがりだったり、自分が好きな場合に効果を発揮します。やっぱり人は「限定」に弱いです。

    6.チームワーク化

    「いっしょにやろう。」と言うことです。相手がめんどくさがっていたり、すぐやる必要がないと思っている場合に効果的です。

    7.「ありがとう」を言ってしまう

    先に「ありがとう」を言われると断りづらい、ちょっと大人の作法です。駅のトイレには「いつもキレイに使っていただき、ありがとうございます。」と書かれているのをよく見かけますね。

    言葉を強くする8つの方法

    ここまでが、上手にお願いするための切り口です。

    本書ではさらに、「強い言葉の作り方」が紹介されます。

    おいしい料理にレシピがあるように、相手を感動させる言葉、動かす言葉にもレシピがあります。

    感動的な言葉を紡げるのはもともとの才能ではなく、技術だといいます。

    具体的には、「言葉に高低をつける」ということです。

    高低差にエネルギーが生じて、それが言葉の強さになります。

    一番わかりやすいたとえは漫才ですね。くだらない「ボケ」と真面目な「ツッコミ」。

    この二人の会話には高低差があって、くだらなさと真面目さの掛け合いは、話を聞いている観客を上げたり下げたり、まるでジェットコースターに乗ったかのような楽しさを味わわせます。

    もしこれがボケだけで、またはツッコミだけで延々とくだらないことをやっていたらつまらないと思います。

    なぜつまらないかというと、話に抑揚がないからです。

    言葉に抑揚を付ける方法を、本書では8つ紹介しています。

    1.サプライズ法

    JRの広告「そうだ、京都行こう」が有名です。単純に「京都行こう」と言うだけでは平凡ですが、サプライズキーワードの「そうだ」で一回上げてから「京都行こう」と落とすことで高低差を付けます。

    レシピ

    ①伝えたい言葉を決める
    ②サプライズキーワードをくっつける

    2.ギャップ法

    正反対の言葉をくっつける方法。

    たとえば「誰が敵になろうとも、私だけは味方だ。」は、ただ「私は味方だ」と言うより強い印象を与えます。

    レシピ

    ①伝えたい言葉を決める
    ②正反対のキーワードを決める
    ③2つの言葉が繋がるように言葉を埋める

    言葉ではないですが、漫画や映画がこのギャップを多用しています。「強大な悪に立ち向かう少年たち」はよくある設定ですね。

    「美女と野獣」「のび太とドラえもん」といった正反対のキャラを組み合わせてギャップを利かせた作品は、探せばいくらでも出てくるし、人気作品ほどこの傾向が強いです。昔の作品を見ても、「熱血の金八先生とやる気のない不良生徒」「フーテンの寅さんと才色兼備のマドンナ」「勇敢な七人の侍と卑屈な百姓たち」など、時代を超えて使われている普遍的な方法だとも見ることができます。

    3.赤裸々法

    詩や小説のように、言葉に体温を持たせる方法。

    レシピ

    ①伝えたい言葉を決める
    ②その言葉に対して起こる体の反応を赤裸々に描写する

    本書では、西野カナの「会いたくて会いたくて震える」という歌詞を例に挙げています。「会いたい」と思った時の体の反応を赤裸々に描くことで有名になったフレーズです。

    「会いたい」時の体の反応は様々で「顔が赤くなる」「のどがカラカラになる」「緊張する」「頭が真っ白になる」などがありますが、その中で一番ハマるものをくっつけるのだといいます。

    このように、詩や小説も才能ではなく技術なのだといいます。「西」つながりで思い出しましたが、小説家の西加奈子さんは、「小説は、ニュースの取りこぼす内容を書くことだ」と言いました。

    ニュースは感情を排除して事実を淡々と述べるだけですが、そこに含まれる心理を描写したら、言葉に深みが出て、読者に何かしら思い入れを残す、小説が出来ます。

    4.リピート法

    伝えたい言葉を繰り返すことで強調する方法。

    レシピ

    ①伝えたい言葉を決める
    ②繰り返す

    「今日は暑い」と言うより「今日は暑い、暑い。」と重ねた方がぐっと暑さが伝わるといいます。

    確かに、暑い日にひたすら「あー、あっちー!今日あっちーな!まじ暑いわ!」と繰り返す人がいるけど、あれを聞いているとこっちまで暑くなってきますね。

    5.クライマックス法

    サプライズ法に似ていますが、クライマックスキーワードというものを付けることで聞き手の注意を引く方法です。

    人の集中力は15分と言われていて、話をしている途中で聞き手の注意が散漫になることがあります。

    そういう時、クライマックスキーワードの「ここだけは聞いて欲しいのですが」とか「ポイントが3つあります」などを付けることで注意喚起をする方法です。

    レシピ

    ①伝えたい言葉を決める
    ②クライマックスキーワードを前に付ける

    6.ナンバー法

    「ひとつぶ300メートル」「101匹わんちゃん」「3本の矢」「7不思議」など、広告やタイトル、政策の多くに数字が入っているのはインパクトを増すためです。

    数字には、人の印象に残りやすいという性質があります。

    さらに、偶数より奇数の法がエッジが聞いて印象に残るらしい。確かに「3本の矢」を「2本の矢」にしてしまうとなぜか微妙です。

    レシピ

    ①伝えたい言葉を決める
    ②伝えたい言葉を数字に変える

    7.合体法

    世の中の新しい言葉のほとんどは、二つの言葉を合体させてできるのだといいます。

    「ゆるい」と「キャラクター」を合体させて「ゆるキャラ」、「妖怪」と「ウォッチ」を合体させて「妖怪ウォッチ」。単体では当たり前の言葉を、合体させることで新しい言葉に変える方法です。

    レシピ

    ①軸言葉を決める。例:「男子」
    ②別軸の言葉をいくつか挙げる。例:「控えめな」「大人しい」「草食系」「おっとりした」
    ③二つの言葉を繋げる。例「草食系男子」

    二つを合わせて別の新しいものを作る。これは言葉だけでなく全ての新しいものがそうしてできているようです。男と女が合わさって子どもができるしね。そう考えると哲学的ですね。

    8.頂上法

    トップであることを強調します。

    なにも世界一である必要はありません。街で「地域ナンバー1!」という広告をよく見かけるように、世界→国→県→地元と見て行った時にどこかしらナンバーワンになれる場所があるので、そこを強調します。

    洗剤の「トップ」はなにで一番なのかはわからないが、たしかに頭に残る商品名だと思います。他にも「一番搾り」「世界一受けたい授業」もあえて「頂上」を強調することで印象付けている。これらの例でわかるように、頂上であるとする根拠は何でもいいんだと思う。

    レシピ

    ①伝えたい言葉を決める
    ②適した頂上キーワードを入れる

    おわりに

    個人的にも気づきが多い本で、備忘録も兼ねてまとめたら長くなりました。

    この本の要旨は、「自分の手で、言葉を生み出そう」ということです。この本の内容を発展させていくと、マーケティングやコピーライティングの話になっていくのだと思います。

    シリーズいくつ出しとんねん。

    ブログネタに困ったら本を読むと良いよ

    ブログをはじめて、かれこれ8年が経ちます。

    なのに、相変わらずネタ切れに困っているんですね。

    長いこと考えあぐねていましたが、最近、一つの結論を得ました。

    読書です。

    本を読むことで知識が増え、表現力が豊かになり、色々な視点を持つことができて、書けることが多くなります。

    時代はマスメディアからソーシャルメディアに移って、誰でも情報発信できるようになりました。

    さらに最近は「ユーチューバー」や「プロブロガー」といった個人が活躍している例も増えたし、ネットに書かれた一言が一気に拡がって世間を動かしたり、大きな運動を引き起こしたりもします。

    だから情報発信は楽しい。

    しかし、何を発信したらいいか、分からなくなることも多いです。

    私は最近、本を読むようになりました。出来事としてのきっかけは、お笑い芸人の又吉さんの芥川賞受賞だと思います。

    でも、はじめに手に取ったのは『火花』ではなくて、直木賞受賞作の『流』でした。もてはやされているものを素直に手に取ることができなかったのかもしれません。あのニュースは行動を引き起こす引き金になりましたが、心の中では、ずっと前から本を読んだ方が良いと感じていました。

    それは、ブログを書いていながらいつも「ネタ切れ」と「飽きられる」という課題が念頭にあったらです。

    製品を世に出すにはまず仕入れがなければならないように、また、料理を作るには材料を買わなければならないように、ブログを書くにも材を取る、取材する必要があります。

    ブログネタの仕入先

    では、材はどこから取ったら良いのでしょうか。それが長いこと悩みでした。

    多くのブロガーは、自分の体験が材料です。1日の体験の中の、食えないところは捨てて美味しいところだけを料理してブログという皿に載せて出しています。

    たとえば、トイレに行ったとか電車で移動したとかは載せずに、みんなで笑ってバーベキューしてる様子や誕生会の様子などの食べられる部分だけを、うまく編集して他人に見られるような形にし、盛り付けています。

    体験という材料は自分にしか採れないものなので貴重ですが、なにぶん取れ高が少ない。たくさん採ろうとするとそれだけ体を動かさなければならないから、疲れてしまいます。「SNS疲れ」という言葉が流行りましたが、体を酷使して記事を更新しつづける様は、さながら居酒屋でホールを駆け回るアルバイトのようで、私には進んでそれをやる勇気はありませんでした。

    また、自分の体験を人に面白く見せるのは至難の技です。

    なぜなら体験は個人情報の塊だから書ける内容に制限が多いし、なにより一番客観的になりづらいのが自分という存在です。

    体験を綴った文章はどうしても自慢げになってしまう。なんとか面白くしようとすると他人を貶めるか逆に自虐的になって自分をネタにしなければならないので、書いている本人がダメージを受けてしまいます。

    だから体験だけ書くのでは「ネタ切れ」「飽きられる」どちらの課題もクリアすることができません。

    では、材はどこから取るのか。私はネットの記事を読み漁ってみました。「ヤフーニュース」「はてなブックマーク」「スマートニュース」「バズなんとか」。ネットには無数のメディアが存在していて、1日に何万人、何十万人もの人を集めています。速報性があり、楽しい記事ばかりです。

    しかし、ネットの記事は人を集めるための記事が多い。中身が薄いんです。

    つまり、量を満たすために急ぎ配給している菓子パンのようで、こういうのを材料に料理をすることは難しかったです。ネットには常に新しい情報が供給されるので「ネタ切れ」はしませんが、ネットにある情報をもう一度ネットにあげたところであまり面白みがないし独自性も出しにくい。

    つまり「飽きられる」という課題がクリアできない。

    そこで本です。

    本のあとがきにはよく、「この本を書き上げるのに5ヶ月。毎日5時から13時までは他の用事はすべて断り、集中して書いた」とか「構想に3年、調査に3年、執筆に4年。足掛け10年をこれに費やした」などといった自慢が書かれています。

    長い期間をかけて育て上げた作品は、たとえるなら「5ヶ月かけて育った稲穂」、「10年もののワイン」みたいなもんです。

    つまり材料として使える。私は本からいろんなことを学ばせてもらいながら、同時に「これをどう使おう」という、極めて冷徹な主婦目線も持って読んでいます。

    仕入れたネタを加工する

    一番簡単な料理方法は、本の内容を要約して感想を書く「レビュー」をすることです。

    以下のブログは一つの記事に5、6冊の本から引用して記事にしています。

    leading&coリーディング&カンパニー株式会社

    記事の内容に賛否があるらしいけど、人気のあるブログです。よく別々の本の共通点を見つけてまとめられるものだなあと思います。

    ここまではできないにしても、一冊でも本をまとめれば、読者は今まで存在すら知らなかった本のことを知るようになります。

    そこで「こんなブログではなんにもわかんないよ」と本屋へ行って原本をお買い求めになれば、読者はもっと学べるし、著者には印税が入る。私にとっても本を読むことで知識は増え、表現力が上がります。

    すでに本の内容を要約しているブロガーはたくさんいらっしゃるし、また書評サイトもいくつかあるけれど、新刊は年に80000冊も出版されているし、観点はみんな違うのだから、自分の好きな本を、自分の見方でレビューすれば良いと思います。

    上級者は、本からインスピレーションを受けて自分の作品を作ったら良いかもしれません。

    あの宮崎駿監督も、多くの作品、自然万物、神話などからヒントを得て自分の世界に落とし込み、作品を作っています。

    『天空の城ラピュタ』の呪文「バルス」の元ネタが明らかに!

    でもこれはあまりにも難しく、私には語れることがないので、ここでは触れない。

    そういうわけで、私は最近、本を読むようになりました。

    自分の楽しみのためだけでは読書に興味を持つことはなかっただろうと思います。人を巻き込んでの利益が見込めたので、ようやく行動に移せました。料理も自分のためだけに作っていても腕は上がらないように、文章もそうです。

    本を安く仕入れる

    とはいっても、本を買うにはお金がかかります。単行本の一冊1200円や1600円は、サラリーマンにとって何も考えずに出せる額ではない。そこは、2つの方法で乗り越えています。1つは、カフェが併設している本屋を使う方法です。

    Book&Cafe 

    book&cafeCCCの企画

    都内数カ所に、TSUTAYAとスタバが合体したBook&Cafeが存在します。ここでは、ドリンク片手に未購入の本を読むことができる。

    有楽町マルイ店に行ってみましたが、キレイめのOLが雑誌をテーブルに山積みにして、ものすごい勢いでカップと雑誌の中身を吸い上げてました。

    みんながそうするもんだから、売り物の本のうちいくつかは折り目がついていたりよれていましたが、店員も客も気にしている様子がありません。私にとっても、最低302円で本が読み放題なのだから願っても無く、本の質は気になりませんでした。

    Amazonで売る

    2つ目は、読んだら売るという方法です。

    ブックオフよりはアマゾンの方が良いです。ブックオフで売らないのは、買取価格をつけているのがアルバイトさんなので、ほとんどが安めに見積もられてしまうからです。

    一方、アマゾンでは市場が本の値段を決めている。需要が高い本は高値が付くし、低い本は安くなる。新刊は需要が高く、中古でも新品とほとんど変わらない値段が付いています。

    つまり、1600円の単行本を買って1300円で売れれば、300円で本一冊読むことができる。本来なら10冊読んで16000円かかるところが3000円で収めることができるのはかなりお得ですね。

    お得に本を読むなら古本屋か図書館に行けば良いかもしれませんが、古本屋や図書館の本は品定めが難しい。ブログに書けるような、ある程度の気楽さがあってなおかつ新しい情報を得るには、本屋の方が良いです。

    本屋では人気のある本が平積みにされているから、自分の知らない分野でもそれを手に取っておけば、すぐにトレンドをつかむことができます。最近図書館も変わってきて、本屋が図書館を運営するニュースもあるものの、全国的になるにはまだ時間がかかりそうです。

    仕入れた記事を加工する3つの段階

    本の内容をブログに書くにあたっては、3つの段階があります。

  • 本を読む
  • 内容をまとめる
  • 記事にする
  • 1.本を読む

    まず一つ目、本の内容を理解する必要があります。そのために一度読んで内容を理解します。ためになることが書かれていて、自分の糧になります。

    本の選出は実用書が楽です。小説は、ブログに期待される「新しく」「簡潔に」と相性が良くないためか、記事にしにくいように思います。

    もちろん表現力や語彙を鍛えるためには小説や新書の方が参考になります。

    2.内容をまとめる

    本の内容をまとめる必要があります。ノートを取り出して心に引っかかったところや重要な箇所を記録していきます。自分の感じたことも書いておきます。スマホでなくノートに書くのは一覧性が高いからです。パッと見て全体像がわかるようにすると後で編集しやすいです。

    ちなみに多くの実用書に共通しているのが、話の核心が本文の数ページに収められているということです。他は体験談、たとえ話、同じ内容の繰り返し、応用、まさかのページ稼ぎ!なので、核心を見つけることさえできれば、読むのも楽だしまとめるのも大変ではありません。

    3.記事にする

    ブログに書きます。ノートを見ながらどんなブログ記事にするか構想を練ります。ノートのあちこちに書きなぐった文章が、どうやったら一つの文章に繋がるのか、パズルをするような感覚で生地を作っていきます。

    おわりに

    こんなことを考えて、このブログでもブックレビューをしてこうと思います。

    最近、時間が経つのがめっぽう早くなった気がする。自分の人生を行くだけでは限られたことしか知ることができません。

    本には他人が歩いた道が書かれていて、自分には時間がなくて知り得ない世界を体験することができる。

    そうやって、過ぎていく時間を少しでも節約して使ったらいいんではないかと思います。