イケハヤさんがブログで紹介していた本を読んでみたのですが、めっちゃ面白い。
「人間ってなんで霊長類最強なんだろう。」という主題から話が進んでいく本です。
このようにいうと「霊長類最強は吉田沙保里だよ。」というツッコミがあるかもしれません。
確かにそうなんですが、今回は個人の強さについてではなく、もう少しだけスケールの大きい話です。
今回読んだのはこちら。
あ、間違えた。こちらです。↓
アマゾンの「歴史」カテゴリで一位になってます。
では本文紹介です。
人が他の動物と比べて優っているのは「脳」です。
太古の昔、他の動物が「より強い歯」や「より大きな翼」を獲得していったのに対して、人類は脳を発達させていきました。
なぜ脳を発達させるようになったのかは定かではありません。
なぜなら、当時はメリットよりデメリットの方が圧倒的に多かったからです。頭が良かったからといってすぐに動物との戦いに勝てたわけではありません。長い間、人間は大きな脳を持っていながらも動物に怯えながら過ごしていました。
脳のデメリットは、とてもデリケートだから頭蓋骨というヘルメットで守られなければならないことと、とても重いことです。
重いから四足歩行では支えきれず、二足歩行にしなければなりませんでした。
二足歩行になると、筋肉が弱くなり、骨盤が小さくなります。
そうすると産道が小さくなりますから、子どもは未発達の状態で産まなければならなくなりました。しかも子どもの頭は大きいという。
これほどの大きな代償を払いながら、人間がはじめに得た知恵は「石器を作る技術」でした。
石器は使えるようになったけれども、たかが石器で狼やライオンと戦えたわけではありません。
石器は主に「骨髄を取り出すため」に使われていたと言います。
一〇〇万年前に生きていた人類は 、脳が大きく 、鋭く尖った石器を使っていたにもかかわらず 、たえず捕食者を恐れて暮らし 、大きな獲物を狩ることは稀で 、主に植物を集め 、昆虫を捕まえ 、小さな動物を追い求め 、他のもっと強力な肉食獣が後に残した死肉を食らっていた 。初期の石器のごく一般的な用途の一つは 、骨を割って中の骨髄をすすれるようにすることだった 。
ライオンが獲物を仕留めてそれを食べるのを人間は遠くから眺めていました。
そして食べ終わってあっちにいった後、出て行くのかと思いきやまだ待ちます。
ハイエナやハゲタカが残飯をあさりにくるからです。
彼らが満腹になってどこかに立ち去った後、ようやく人間たちは出てきて骨から骨髄を削り出して食料にしていました。
なんか惨めですね。
こんな圧倒的弱者だった人類に転機が訪れたのは、火を使うことができるようになってからです。
火を使う動物はいません。人間は自在に火を操りながら、それまで脅威だったケモノを追い払い、食べることができなかった植物や肉を調理することができるようになりました。
調理すれば 、嚙むのも消化するのもぐんと楽になった 。チンパンジ ーが一日五時間も生の食べ物を嚙んでいるのに対して 、調理した食物を食べる人間は 、たった一時間あれば十分だった 。調理をするようになったおかげで 、人類は前よりも多くの種類の食物を食べたり 、食事にかける時間を減らしたりでき 、小さな歯と短い腸で事足りるようになった 。
火によって 、人類と他の動物との間に 、最初の重大な隔たりももたらされた 。ほぼすべての動物の力は 、筋肉の強さや歯の大きさ 、翼の幅など 、自らの身体を拠り所にしている 。動物たちは風や水の流れを利用することはあっても 、そうした自然の力を制御することはできないし 、つねに自らの身体的構造の制約を受ける 。(中略)人類は火を手懐けたとき 、従順で潜在的に無限の力が制御できるようになった 。ワシと違い 、人類はいつ 、どこで火を起こすかを選ぶことができ 、また 、火をさまざまな目的で利用することもできた 。そして 、これがいちばん重要なのだが 、火の力は 、人体の形状や構造 、強さによって制限されてはいなかった 。たった一人の女性でも 、火打ち石か火起こし棒があれば 、わずか数時間のうちに森をそっくり焼き払うことが可能だった 。
こうして人類は生物界で確固たる地位を獲得しました。
効率化が進んで、人類はたくさんの子孫を残せるようになり、活動範囲も広くなって、どんどん遠くへ移り住むようになります。
しかし、移り住んだ先で目にしたものは、同じように火を使って繁栄した他の人類でした。
私たちは「ホモ・サピエンス」と呼ばれます。今は人類というとホモ・サピエンスしかいないのですが、大昔はいろんなのがいました。
ネアンデルタール人やホモ ・ソロエンシス、ホモ・デニソワなんていう人たちがいました。
しかし、今、彼らはいません。残っているのはホモ・サピエンスだけで、他は全部滅んでしまいました。
これは長い年月をかけて、人類同士で争った結果だといいます。
身体能力では、ネアンデルタール人の方が優っていました。
一対一ではホモ・サピエンスに勝ち目はありませんでした。
しかし、彼らはホモ・サピエンスに負けました。
なぜなら、ホモ・サピエンスは言語を操る能力に長けていたからです。
サピエンスの成功の秘密は何だったのか ?私たちはどうやって 、これほど多くの 、遠くて生態学的に異なる生息環境に 、これほど速く移り住むことができたのか ?私たちはどうやって他の人類種をすべて忘却の彼方へ追いやったのか ?なぜ 、強靭で 、大きな脳を持ち 、寒さに強いネアンデルタ ール人たちでさえ 、私たちの猛攻撃を生き延びられなかったのか ?激しい議論は今なお尽きないが 、最も有力な答えは 、その議論を可能にしているものにほかならない 。すなわち 、ホモ ・サピエンスが世界を征服できたのは 、何よりも 、その比類なき言語のおかげではなかろうか 。
ここまでが第1章です。こっから「言葉のどのような機能がホモ・サピエンスに勝利をもたらしたのか」という話に入っていきます。
人類の歴史は闘争の歴史ですね。
人類は「ただ強い」というだけで「最強」の座を得られたわけではないというところが興味深いです。
今もいろんな戦いをしている人類ですが、どうしたら「勝てるのか」。そのヒントが書かれているような気がします。